これを『運命の恋』と呼ばないで!
置いていかれる
週の明けた月曜日、一枚の報告書類がオフィス内を騒がしてた。


『異動辞令』


そう印刷された文字を見つめ、私は気が遠くなる思いがした。



(異動辞令?なんで?)


長らく掲示板の前に突っ立って眺めた。それから思い立って走り出した。




「先輩っ!」


課内に響き渡るような声を出してしまった。
パソコンの前に座ってた人は、少しだけビクついてこっちを向いた。


「何だ?」


珍しく真ん丸な目をしてる。
私が好きでいることを何も知らない男に向かって、質問を投げかけた。


「い…異動するってどういうことなんですか!?」


辞令は青空先輩に出されたものだった。
そして、異動先はなんと海外支社。


「商品開発部に配属ってどういう意味!?総務課は先輩がいなくてもいいってことですか!?」


捲し立てるように声を発する私を睨むような目つきで見てる。
その目線に刃向かう様に、私は息を吸い込んだ。


「何とか言って下さい!!先輩!!」


何処かへ行くのは私の方だと思ってたのに何よこれ。

先輩が私の視界の中からいなくなるなんて、考えたことすらなかった。

いなくなるならなるで、どうして何も言ってくれなかったの。

そしたら玉砕覚悟でもいいから、思いを打ち明けていたのに。



怒りとか悔しさとかが込み上げてきて、目頭が熱くなりそうだった。
先輩は呆れた様子で私の顔を覗き込み、のっそりと椅子から立ち上がった。


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