これを『運命の恋』と呼ばないで!
暫く抱き合った後、二人で一緒に外へ出た。


夕飯を食べて送ろうと話す先輩の申し出を丁重に断ったら……


「じゃあ朝まで一緒にいるか?」


そう問われて、さすがに直ぐというのも気が引けて。



「すみません……今夜はちょっと……」


胸がいっぱいで張り裂けそうだった。
これ以上の幸せが続いたら明日からが心配で仕方ない。


「残念だけど仕様がないな。じゃあ次の残業の時でいいか」


その時は帰さないから覚悟して来いと言われた。
どう答えていいかも分からず、コクコク…と首だけを縦に振った。


タクシーで帰るよう促されて従った。

乗り込む前に抱き寄せられて、熱い唇を受け入れた。


「死ぬなよ」


魔除けような言葉を吐いて見送られる。

その言葉に胸をときめかせながら、いつまでもいつまでも後ろを振り返った。



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