これを『運命の恋』と呼ばないで!
『やっぱり先輩が救世主なのかもしれない』


四角い画面に呟いたら間もなく返事が入った。


『鬼だと言ってた人のこと?』


『うん。好きだって言われた』


『えええっ!!??』


びっくり箱3個分のスタンプが押された後、智花が急いで電話してきた。



「すっごいじゃん!急展開!何があったの!?」


「それが……私もよく分からなくて。まだ夢を見てる様な気分なの」


優しく名前を呼んでもらってキスまでされたけれど、全部が夢の中の出来事のようで仕方ない。


「でも、好きだって言われたんでしょう?」

「うん…言われたけど実感が湧かない…と言うか、湧いてるけど信じられないと言うか……」


絶対に好きになって貰える可能性なんて無いと思ってたせいだろうか、どうにも信じ難い。


「焦ってるって言われたの。青空先輩もう直ぐ海外へ行っちゃうし、行けば私達、確実にお別れだもん」

「海外!?転勤するの!?」

「うん。商品開発部へ配属されることが決まったの」

「商品開発部!?それってスゴいの?」

「スゴいよ。エリート集団の集まりで出世間違いナシとも言われてる部署だから」

「ヘェ〜そんなとこへ配属!?大したもんね〜!…それで?ナツは追いかけないの?」

「追いかける?」

「先輩のこと好きなんでしょ?追いかけて行けばいいじゃない」


カンタンに言う。
そんなことが出来ればこんな気分になったりしない。


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