これを『運命の恋』と呼ばないで!
「お前には緊張感とか責任感とかいうものは無いのか?!」


怒りを通り越して呆れる様な言葉を吐かれた。


「あ…あります…(一応)」


「あるのになんで居眠りなんてするんだ!?無神経すぎるぞ!」


「はい……誠に申し訳ありません……」


蛇に睨まれた蛙。
今の私の立場は正しくそれと同等だろうと思う。


「お前は俺が善意で仕事を手伝ってやってるとでも思ってんのか!?」


「め、滅相も無い!」


そんなこと思う訳ないじゃない。


「じゃあどう思ってるんだ?」


「私一人では絶対に間に合わないし、焦れば焦るほどミスが増えるから手伝って下さってるんです……」


ううっ、このセリフ、自分で言ってても情けない。


「当たりだ。それが分かってて、何故寝る!?」


「すみません。最近、寝不足気味で……」


「寝不足?昨夜は残業もしないでさっさと退社してたじゃないか!」


呆れてるよ。当然だけど。


「はい、でも、この最近まともに眠れてなくて……」


て言うか、あんたの元で仕事を始めだしてから、私には【安息】ってものが無い。


「まともに眠れないって悩みでもあるのか!?」


おっ、ちょっとだけ声色変わった?


「まぁ、あっても聞かないけどな」


なんだ、ちっとも変わってないや。


「第一、今はそんなこと聞いてる場合じゃないし」


(ええ、ええ。そうですよね)

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