これを『運命の恋』と呼ばないで!
子供みたいな返事をして外へ出る。
泣き出しそうになるのを我慢して、トボトボと廊下を歩く。
叱られてもないのに落ち込むっていうのはどうなんだろう。
零れ落ちてきそうな涙を堪えてひたすら前を見て歩いた。
「若山、ちょっと待て」
後ろから追いかけてきた人に気づいて立ち止まった。
靴音を響かせてきた人は、私の前に回り込んだ。
「話があるから後で会おう。駅前のコーヒー屋で待っててくれよ」
「話……?」
何?
期待できそうなこと?
「いいか?」
不安げな目をする。
私の表情が優れてないからだろうか。
「いいです。…分かりました」
返事をするのに間がいった。
先輩は冴えない顔つきをしながらも「じゃ後で」と走り去って行った。
(どういうんだろう。この関係って)
先輩と後輩の枠は越えてしまった。
でも、恋人同士になったとも言い難い。
更衣室へ入り、モジモジしながら服を着替えて社外へ出る。
定時に上がると外が明るい。
日没までにはまだ時間もあるんだろうと思う。
(何処へ行こうか)
早く着いてもいけないし、智花のお店に行くのもマズい。
今日は首筋にも跡が付けられてる。
髪を触られたりしたら何かと説明が厄介だ。
何気なく目標もなく歩き始めた。
ボンヤリと歩み進めていると、目の前に知った人が現れた。
「ナッちゃん」
「京塚先輩」
泣き出しそうになるのを我慢して、トボトボと廊下を歩く。
叱られてもないのに落ち込むっていうのはどうなんだろう。
零れ落ちてきそうな涙を堪えてひたすら前を見て歩いた。
「若山、ちょっと待て」
後ろから追いかけてきた人に気づいて立ち止まった。
靴音を響かせてきた人は、私の前に回り込んだ。
「話があるから後で会おう。駅前のコーヒー屋で待っててくれよ」
「話……?」
何?
期待できそうなこと?
「いいか?」
不安げな目をする。
私の表情が優れてないからだろうか。
「いいです。…分かりました」
返事をするのに間がいった。
先輩は冴えない顔つきをしながらも「じゃ後で」と走り去って行った。
(どういうんだろう。この関係って)
先輩と後輩の枠は越えてしまった。
でも、恋人同士になったとも言い難い。
更衣室へ入り、モジモジしながら服を着替えて社外へ出る。
定時に上がると外が明るい。
日没までにはまだ時間もあるんだろうと思う。
(何処へ行こうか)
早く着いてもいけないし、智花のお店に行くのもマズい。
今日は首筋にも跡が付けられてる。
髪を触られたりしたら何かと説明が厄介だ。
何気なく目標もなく歩き始めた。
ボンヤリと歩み進めていると、目の前に知った人が現れた。
「ナッちゃん」
「京塚先輩」