これを『運命の恋』と呼ばないで!
その方が怖くないの、私は。
救世主だと信じた人の側でずっと生き続けていきたいんです。

近づいてる死期が来たとしても、離れ離れでなんかいたくない。


青空奏汰の隣にいたい。

昨夜みたいにずっと私を抱き続けて。

腕の中にいる間だけでもいいから幸せに満たされておきたい。




「先輩、お願いです。私とケッコンして下さい」


またしても、逆プロポーズをしてしまった。
呆気に取られた先輩の目は、驚いたままで私を捉えた。



(ああ、もう。私ってバカ……)



恥ずかしさと情けなさが増す。
耐えれなくなって、先輩の腕に手を掛けた。



「何とか言って」



先輩の顔が我に戻り、瞳の中に私が映る。
その目を見つめ返して、ゴクン…と喉を鳴らした。




「お前という女はホントに」


呆れながら笑い始める。
こっちは緊張した面持ちでいるのに、不謹慎にも程がある。



「先輩!」


我慢できずに叫んだ。
彼は私を見返し、ふっ…と小さく息を吐いた。





「若山夏生」


マトモにフルネームを呼ばれた。

先輩の顔は照れくさそうで無防備に見えて、食べてしまいたいくらいに可愛い。


そっと両手を肩に置かれる。
近付いてくる体温を感じながらがブルッと背中が震えた。



「結婚して欲しいのは俺の方だ。お前のことを全部、俺に預けて欲しい」


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