これを『運命の恋』と呼ばないで!
お願い……
『プロポーズしちゃった』


ナツからの呟きはいつも唐突にくる。

この時も最初は(ふーん)ってカンジで眺めて、それから(えっ!?)と見返した。




「どういうこと!?」


私が電話をかける時はいつも驚いたセリフから始まるのはこのせい。


「先輩と離れたくないから『連れてって』とお願いしたの」


確か数日前は私の方が追いかけたら?と言ったんだよね。
あの時ナツは『ムリだよ』とショボくれてた筈だけど。


「先輩と離れてしまうのが一番怖いって気づいたの。何があっても手の届く範囲にいたいって思った」


安易に紹介した占い師から『死期が迫ってる』と言われたナツ。
信じ難い事実を受け止めながらも、何も考えずに今を大事にしていこうと決めた。


「親にも会わせたの。ビックリしてたけど、一応認めてもらった」


先輩は優秀だから…とノロケる。
やっとナツらしくなった様な気がして、ホッとしつつお祝いを言った。


「おめでとう。ナツ」


良かった。
クレハさんの言ってた『婚期』もちゃんと間近に迫ってたんだ。



「週末に先輩のご両親と会食なの。だから、すっごく緊張してる」


漬物出るといいな…って呟く。
ナツはホントにマイペースなんだから。


「優しいご両親だといいわね」


ノンビリ屋でトロいところもあるけど、頑張り屋なナツを認めて貰えるとありがたい。


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