これを『運命の恋』と呼ばないで!
「今日はどうもありがとう」


ナツと青空さんが挨拶に来た。


「なつみをこんな美人に仕立ててもらって光栄です」


青空さんの言葉にナツがプンプンと怒る。


「いつもは美人でなくてすみません!」

「あ…いや、そういう意味じゃなく…」


弁解してる姿を見る限り、二人はうまくやっているようだ。

幸せそうに見えるナツに死期はやって来ないような気がした。



「智花も結婚する時は呼んでよ」


鶴井君によろしくお願いします…と頼んでた。
ナツの余計な気遣いにこそばゆくなりながら帰宅して、「いい式だったね」と話し合った。




それから3日後の午後。



「行ってきまーす!」


手を振り上げて私の親友は出国ゲートをくぐり抜けた。


「ナツ、元気でね!!」


グッドラック!と声を掛けて空港の外へ出る。

待ち合わせてた鶴井君と買い物をして夕食を食べてから部屋へ戻った。





「美味しかったー!あのパスタ最高ー!」

「雲丹とアワビ入りなんて贅沢だけど、たまにはいいね」


食べたばかりの食事の感想を言い合ってたら、甲高い警報音がテレビの画面から聞こえてきた。



「何?地震でもあったの?」

「さぁ、何だろ?」


二人してテレビの画面を見守る。

クイズ番組は急に切り替えられ、報道フロアが映し出された。



(何事?)


目を見張ってたら、今度は携帯が鳴り響く。


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