これを『運命の恋』と呼ばないで!
思い出1
ナツと初めて会ったのは5年前の梅雨入りの時期だ。
当時私は美容師見習いとして働きながら専門学校へ通い、土日はひたすらお店で修行を続けるという日々を送っていた。
ナツがお店に入ってきた日は生憎の雨模様で、カランカランと鳴り響いたベルの音も心なしか暗い雰囲気に聞こえた。
「すみません、初めてなんですけど予約ナシでもカットしてもらえますか?」
雨に濡れたナツを出迎えた時、なんて小さい子だろうって思った。
身長は150センチくらいに見えた。
細っこい体つきをしていて、パッチリと丸い目をしてるのが印象的だった。
「いいですよ。どうぞ」
手荷物を受け取りながらナツの顔を伺った。
伏し目がちで何処となく元気のない様子に思えたナツは、シャンプー台へとついて来た。
「こちらへお掛けください」
皮張りの椅子に体を横たえたのを確認して、膝掛けをお腹の上に乗せた。
「お背中倒しますね」
様子を見ながら背もたれを倒すと、何も言わないうちから上へと上がってきてくれた。
「恐れ入ります」
恐縮する言葉をかけると「いえ…」と小さな声を漏らす。
大人しい雰囲気の子だな…と思いつつ、顔に飛沫避けのガーゼを乗せた。
程よい温度のシャワーをかけながら髪を濡らすと、ナツの髪は指通りもよくツルツルと流れ始めた。
当時私は美容師見習いとして働きながら専門学校へ通い、土日はひたすらお店で修行を続けるという日々を送っていた。
ナツがお店に入ってきた日は生憎の雨模様で、カランカランと鳴り響いたベルの音も心なしか暗い雰囲気に聞こえた。
「すみません、初めてなんですけど予約ナシでもカットしてもらえますか?」
雨に濡れたナツを出迎えた時、なんて小さい子だろうって思った。
身長は150センチくらいに見えた。
細っこい体つきをしていて、パッチリと丸い目をしてるのが印象的だった。
「いいですよ。どうぞ」
手荷物を受け取りながらナツの顔を伺った。
伏し目がちで何処となく元気のない様子に思えたナツは、シャンプー台へとついて来た。
「こちらへお掛けください」
皮張りの椅子に体を横たえたのを確認して、膝掛けをお腹の上に乗せた。
「お背中倒しますね」
様子を見ながら背もたれを倒すと、何も言わないうちから上へと上がってきてくれた。
「恐れ入ります」
恐縮する言葉をかけると「いえ…」と小さな声を漏らす。
大人しい雰囲気の子だな…と思いつつ、顔に飛沫避けのガーゼを乗せた。
程よい温度のシャワーをかけながら髪を濡らすと、ナツの髪は指通りもよくツルツルと流れ始めた。