これを『運命の恋』と呼ばないで!
「隠さなくてもいいって。空君はナッちゃんが気になって仕方ないんでしょ?それなのに、どうして海外勤務を決めたの?
昼間も言ったけど、いきなり後釜を頼まれても困るのよ。私にだって人生設計ってものがあるんだから」
30歳までに結婚して子供を産む。
仕事のデキる女にもそれなりに夢があるらしい。
「3年も行ったきりだと私は三十路を越えてしまうじゃない。向こうでミスをやらかしてもいいから、さっさと帰ってきてよ」
「無茶言うなよ。いくら俺でもそんなヘマはやりたくねぇよ」
「だったら断って。私の為じゃなく、ナッちゃんの為にも!」
「若山の為?」
聞き返す俺に歯ぎしりをして、汐見は啖呵を切り始めた。
「分かってないの!?ナッちゃんの気持ち!」
「若山の気持ちって何だよ」
「呆れた。……あの子、空君のことがきっと好きよ!」
「えっ!?俺を?」
寝耳に水な話だ。
汐見は軽蔑した様な目で俺を睨み、「見てたら分かるじゃない!」と突っ撥ねた。
「空君もナッちゃんも似た者同士なところがあるよね。気づかないまま海外へ行って、後で分かったって遅いのよ!?
そんなことしてナッちゃんを泣かせたりしたら、私が承知しないんだから!」
仲間思いの汐見らしいセリフだが、俺の方には謎が多い。
(俺がこいつを気にしてるって?)
デスクの向かい側から常に仕事ぶりは眺めていた。
この最近は顔色も悪く、苦そうな顔をしながらコーヒーを飲むことが増えたな…と思ってはいたが。
昼間も言ったけど、いきなり後釜を頼まれても困るのよ。私にだって人生設計ってものがあるんだから」
30歳までに結婚して子供を産む。
仕事のデキる女にもそれなりに夢があるらしい。
「3年も行ったきりだと私は三十路を越えてしまうじゃない。向こうでミスをやらかしてもいいから、さっさと帰ってきてよ」
「無茶言うなよ。いくら俺でもそんなヘマはやりたくねぇよ」
「だったら断って。私の為じゃなく、ナッちゃんの為にも!」
「若山の為?」
聞き返す俺に歯ぎしりをして、汐見は啖呵を切り始めた。
「分かってないの!?ナッちゃんの気持ち!」
「若山の気持ちって何だよ」
「呆れた。……あの子、空君のことがきっと好きよ!」
「えっ!?俺を?」
寝耳に水な話だ。
汐見は軽蔑した様な目で俺を睨み、「見てたら分かるじゃない!」と突っ撥ねた。
「空君もナッちゃんも似た者同士なところがあるよね。気づかないまま海外へ行って、後で分かったって遅いのよ!?
そんなことしてナッちゃんを泣かせたりしたら、私が承知しないんだから!」
仲間思いの汐見らしいセリフだが、俺の方には謎が多い。
(俺がこいつを気にしてるって?)
デスクの向かい側から常に仕事ぶりは眺めていた。
この最近は顔色も悪く、苦そうな顔をしながらコーヒーを飲むことが増えたな…と思ってはいたが。