これを『運命の恋』と呼ばないで!
現実4?
騒つく物音で目覚めた時、隣に座っている先輩の顔は真っ青だった。



「せんぱ……奏汰さん!?どうしたの!?」


慌てて言い返した私の方へ振り向く。
真っ青に見えてた顔は白っぽく、まるで生きてる様に見えない。



「奏汰……さん………?」


怖くなって手を伸ばした。

腕も指先も全てが冷たい……。



(何これ?どうしたって言うの!?)


「先輩!」


自分はハッキリと声をかけたつもり。
なのに、周囲の人々はそれすらも気付いていない。


「……ねぇ、誰か気づいて!!」


先輩の様子がおかしいの。
どう見ても普通の状態じゃない。


とうとう立ち上がって座席にいる人達を見渡した。
皆、楽しそうに話してたり、笑い合ったりしてるのに。


「ねぇ!お願い!!誰かキャビンさんを呼んできて!奏汰さんの様子が変なの、声をかけても返事をしてくれないの!!」


ねぇ、ねぇ…と訴え続けてるのに、誰もかれもが無反応。

会話してる筈なのに声は聞こえてこない。

近くの席で泣き叫んでる赤ちゃんの声がしても、キャビンアテンダントすらやって来ない。



……何かがおかしい。
これが夢でなかったら、一体何が起こったって言うの!?



ガクガクと足が震えだして座り込んだ。
隣に座ってる先輩の体は、さっきよりも一層冷えきっている。



「うそ……ヤダ……」


ゴシゴシと擦りだした。
擦っても擦っても少しも温かくなってこない。
むしろ皮が乾いてきて、摩擦で剥けてしまいそうだ。


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