これを『運命の恋』と呼ばないで!
事実2
空君達が生きてるかもしれないという報道は、事故発生から2日目の夕方になって流れてきた。


『まだ確認の取れていない情報ですが、数名の方の生存の可能性が出てきました』


緊急速報として流された番組内で、『あおぞらかなた・なつみ』と名乗る二人に出会ったという人の話題が持ち出された。


『その日本人医師の話では、二人は只今香港にいると見られ……』


休憩室に集まってたオフィスの人達は、その話を聞いてどよめいた。



「本当かしら」


テレビを見ながら呟くと、隣にいた同期の藤沢さんは……


「今はそれを信じるしかないんじゃない?誰もが皆、空君達は死んでるなんて思いたくない筈よ?」


藤沢さんは営業二課で働いてて、ナッちゃんのこともよく知ってる。
私と同じ様に今回のことでは胸を痛めていて、自分が営業部長に進言しなければ良かった…と後悔しているうちの一人だった。




『私が「皆が怒ってる」と言ったばかりに……』


事故発生当時、ナッちゃんが総務課へ異動になった理由の発端を聞かされた。

何気ない部長との会話の中で、困ってることの一例として挙げただけのことだった。


『夏生ちゃんは自分なりには一生懸命やってた筈なのよ。まだ1年目だったし、それについては皆も考慮してたの。ただ、忙しい時に限ってミスや遅れが目立って見えてたから……』


軽い気持ちで『どうにかなりませんか』と嘆いたらしい。
それを間に受けた部長が大輔さんに相談を持ちかけてしまい……


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