これを『運命の恋』と呼ばないで!
(ナツが生きてる!?)


緊急速報が流れだしたのを見て、思わず画面に近寄った。


『香港空港で二人と出会ったと話す日本人医師によれば、妻のナツミさんはお元気だけれど、ご主人のカナタさんが重度の飛行機酔いを発症しておられ、病院内で手当を受けていたということです。

医師からの連絡を受けた捜査当局では、現在この情報の真偽性を確かめており、生存はまだ確認できておりませんが詳しい情報が入り次第、またお知らせを致したいと思います。

この度の事故では、多くの方のご親族、ご友人の皆さんがご心配をされているかと存じます。生存を信じて、今暫く気を強く持ってお待ち下さいーーー』


切り替わったテレビ画面にガクッと首を項垂れた。


これってホントなんだろうか?だとしたらどうして何も言ってこないの……。



「トモちゃん」


隣にいた鶴井君は、私の肩を抱き寄せた。


「生きてるなら何か一言くらい言ってくる筈よね!?ホントに生きてるんなら、声を聞かせてくれてもいいんじゃ……!」


ワナワナと体を震わす私をぎゅっと抱き締めてくれる。


「トモちゃん、君はなったことないのかもしれないけど、飛行機酔いって大変なんだよ。
酷い人になると目も開けてられないくらい目眩がするし、吐き気もあって頭痛も伴うんだ。

ナツミちゃんの旦那さんがそのパターンだとしたら、電話をかけるどころの騒ぎじゃないのかもしれないよ?
今の話では元気そうだったし、そのうち連絡がくると信じて待つしかないよ」


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