これを『運命の恋』と呼ばないで!
やっぱり貴方は
(目の前にいる人はやっぱり鬼だったな……)
次の日、私はいつものように先輩の向かい側で仕事をしていた。
それはこの1年以上前から変わらないオフィスでの日常。
総務へ異動させられてからずっと、私の前はこの鬼先輩だった。
(でも、今日はこれまでで一番気まずい)
朝から逃げ出したい気分に襲われている。
向かい合わせている人と目が会わないよう必死で俯いて仕事をしていた。
「バカ山」
「は、はい!」
(しまった…つい返事した…)
午前中いっぱい知らん顔していた人に名前を呼ばれた。
恐る恐る目線を上げると先輩は昨日までと変わらずの「への字」口をしている。
「決算報告書の照合、終わったか?」
薄くも厚くもない唇が開いて喋った。
「い、いいえ。まだです!」
こっちを見定める目が厳しく感じる。
この男が笑った様に見えた昨日は、やはり夢か幻だったに違いない。
「早く仕上げろ。また残業する気か!?」
「め、滅相も無い!絶対にイヤです!」
昨日の今日で残業。それだけは避けたい。
「なら手を止めるな。ぱっぱと済ましてしまえ!」
「………(はいはい、分かってますよ)」
むっとした顔を向け、返事もせずに書類へと目を落とす。
昨夜私がした覚悟のプロポーズを、先輩はアッサリと一蹴した。
最初のうちは驚いた表情で私の言うことを聞いていた。
次の日、私はいつものように先輩の向かい側で仕事をしていた。
それはこの1年以上前から変わらないオフィスでの日常。
総務へ異動させられてからずっと、私の前はこの鬼先輩だった。
(でも、今日はこれまでで一番気まずい)
朝から逃げ出したい気分に襲われている。
向かい合わせている人と目が会わないよう必死で俯いて仕事をしていた。
「バカ山」
「は、はい!」
(しまった…つい返事した…)
午前中いっぱい知らん顔していた人に名前を呼ばれた。
恐る恐る目線を上げると先輩は昨日までと変わらずの「への字」口をしている。
「決算報告書の照合、終わったか?」
薄くも厚くもない唇が開いて喋った。
「い、いいえ。まだです!」
こっちを見定める目が厳しく感じる。
この男が笑った様に見えた昨日は、やはり夢か幻だったに違いない。
「早く仕上げろ。また残業する気か!?」
「め、滅相も無い!絶対にイヤです!」
昨日の今日で残業。それだけは避けたい。
「なら手を止めるな。ぱっぱと済ましてしまえ!」
「………(はいはい、分かってますよ)」
むっとした顔を向け、返事もせずに書類へと目を落とす。
昨夜私がした覚悟のプロポーズを、先輩はアッサリと一蹴した。
最初のうちは驚いた表情で私の言うことを聞いていた。