これを『運命の恋』と呼ばないで!
私は総務へ異動になってからこっち、二度の自動車事故を起こしたと話した。

その為、友人の智花に神社でのお祓いを勧められ、ついでによく当たると評判の高い占い師【クレハ】さんと出会い、彼女から「死期と婚期が近づいている」と言われた…と教えた。


「その占い師さんは毎日予約が引っ切り無しに入る程有名な方で、そんな人に『死期が近づいてる』と言われたら誰だって驚くでしょう?」


プロポーズした理由を分かって欲しくて話してるのに、先輩は「への字」口を更に曲げて聞いているだけ。

次第にバカにされてると焦りだし、額に冷や汗をかき始めた。


「それで彼女が言うには、私には強い味方がいるようだから、もしかしたらその方と結婚しさえすれば、死も回避できるかもしれないと言われて……」


だから先輩お願い……と声をかけたい。

でも、目の前にいる男は救世主ではなく、鬼の形相を浮かべてこっちを睨み付けている。



「…あのなぁ、バカ山」


とうとう「への字」口が開いた。


「さっきからお前が言ってるそれって、いったい何のボケ?」


「はっ?」


「今時占いで『死期』だの『婚期』だの言われて誰が本気で信じるんだよ」


「だ、誰が……って…」


フッと唇の端が持ち上がる。
可笑しくて笑ってる訳じゃない。
バカにして笑ってるんだ。


「で…でも先輩……!」


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