これを『運命の恋』と呼ばないで!
当然ながら疑ってかかった。
こっぴどく否定されたのを根に持っている証拠だ。


「信じるも信じないもお前の好きにすればいい。昨日も言ったが、お前の人生に口を出す権利は俺には無い」


「……可愛くないなぁ、その言い方」

「何だと!?」

(あ…しまった。つい本音が出た…)


まずったなぁ…と横目を逸らして、でも、もういいか…と諦めた。


「先輩は言い方が可愛くありません。優しくもないし、不器用だし、褒められても貶されてるようにしか聞こえない。

昨日のことだってそうです。私は自分の死が近づいてるかもしれなくてハラハラして心配なだけなのに、頭からボケ話だと決めつける。

世界の何処に死が近づいてると言われてビクつかない人間がいますか!?

しかも、それを言ったのは当たると評判の高い占い師ですよ!?

その人が強い味方なるべき人と結婚したら死が免れるかもしれないと言ったんです!

私だって本気にしたいとは思っていません。

まだ20代前半で、やりたい事は山程も残ってる。

でも!それらがやりきれないうちに死が来たりしたら堪らないから、せめて誰かと一緒に結婚式くらい挙げておきたいな…と、夢を見ただけじゃないですか!

それを先輩は……あんな風に拒否って……」


言い出したら止まらなくなって全てを言おうとした。

昨日の青空奏汰なら即座に止めたであろう言葉を、今日は長々と言わせてもらった。


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