これを『運命の恋』と呼ばないで！
『また事故したの！？』


LINEの文字を見て、智花が慌てて電話をかけてきた。

『運転中、激しい居眠りに襲われた…』と事情を説明したら、『神社でお祓いを受けなさい！』と諭されたのが先月だ。


『ついでに、私の知り合いに有名な占い師がいるから会いに行こう。いろんなことを観てくれるし、言ったことは必ず当たるって評判なの』


眉唾みたいな話を信じて、その占い師が居るという場所に近い神社を訪れたのが今日。


そぼ降る雨の中、参拝を済ませ（こんなことになったのも元はと言えば青空先輩のせいだ）と恨みながらお祓いをしてもらい、その占い師の元へと向かった。



小さなログハウス風の占い館は神社の参道の脇にあった。

建物の前には『スピリチュアル占い』という看板が置いてあり、中へ一歩足を踏み入れると、そこには不思議なくらい落ち着いた雰囲気と澄んだ空気が漂っていた。



「いらっしゃいませ」


声をかけてきたのは女性。
ぱっと見若く見えたけど、年齢は５０歳代だと後で知った。


「こんにちは、クレハさん。今日は私の親友を占って欲しくて連れて来ました」


智花が言うには、この占い師の【クレハ】さんは占いが当たり過ぎて評判になり、連日予約でいっぱいなんだそうだ。


「彼女、若山 夏生と言うんですが、この半年間で二度も車の事故をしていて……」


智花の説明を聞きながら、クレハさんの澄んだ瞳はじぃっと私に向けられる。


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