これを『運命の恋』と呼ばないで!
一生懸命照れを隠してる。
それが可笑しくて小さく肩が震えてしまった。



「お待たせ致しました。昼御膳です」


いいタイミングで食事が届き、先輩はホッとしたようにトレイの一つを受け取った。


「ごゆっくりどうぞ」


目の前に置かれたトレイに上にはミニお櫃とお茶碗。それに急須と小鉢が添えられている。


「えらくアッサリだな」


先輩の声に頷く。


「そうですね」


変わってるなと思っていたら、『お茶漬け定食』であることが判明した。



「なんだ、お茶漬けか……」


多少ガッカリしている。
でも、食欲のない私にはもってこいのご飯だ。


「いただきまーす!」


ウキウキしながらご飯をよそった。
その上から焙じ茶を注ぎ入れ、好みの漬物と海苔アラレを振って食べると書いてある。


サービスの漬物は日替わりだそうだ。

今日のところはさっき食べたしば漬けと壬生菜漬け、それから大根の麹漬けの三種類。

ミックスして食べるのもいいけど、今日は一つ一つ味わって食べたい。



「お茶漬けって最高ですよね。朝も昼も夜も食べれる」


あれ?このセリフ、牛丼屋でも思ったような。


「若山にはピッタリの店だな」


アッサリ過ぎる食事は先輩には物足らなそう。


「先輩、良かったらこっちのご飯も食べて下さい。私もうお腹いっぱいだから入らないので」


半分以上残ってるお櫃を差し出した。


< 75 / 218 >

この作品をシェア

pagetop