これを『運命の恋』と呼ばないで!
「お前もういいのか!?」


やっぱり調子が悪いんじゃないか…と気にされる。


「平気です。無理しない程度に控えてるだけです。それよりも私、帰りにお漬物を買って帰りたいんですけどいいですか?
さっきからずっとショーケースの中が気になってて仕方ないんです…」


話してる側から笑いを噛み締められた。


「やっぱり草食系か」


可笑しくて仕様がないみたいに体を震わす。


「先輩が連れてくるからでしょう!」


恥ずかしくなってくる。
笑みを浮かべたままお茶漬けを食べてる人は、私の残したご飯までも平らげた。



「意外と満腹になった」


お茶を啜りがなら呟く。


「美味しかったですね。汐見先輩に感謝しないといけませんね」


本来なら先輩自身がココへ来たかったのではないか。
その為に青空先輩に教えたのに、私と来て良かったのか。


「本当だな。実によく見てると感心させられるよ」


お店のことかと思ったけど、明らかに先輩の顔は優しい雰囲気に変わってる。



(ふぅん。彼女自慢か……)


つまんないなと思う。
入り込める余裕も隙もないんだ。



「お前、漬物買うんだろ?」


伝票を手にした先輩が立ち上がった。


「はい。…あっ、先輩はどうぞお先に帰って下さい」


ゆっくり選びたいからそう言った。


「えっ!?でも、さっきみたいに倒れてもいけないし…」


どんな心配だ。


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