これを『運命の恋』と呼ばないで!
『ヘタレだな…私は』


家に帰り、またしても送った呟きに空かさず返事は届いた。


『どういうこと?』


WHY?の文字がスタンプされてる。


『ううん、いいの。気にしないで』


ごめんね智花、好きになりそうでなれないから呟いてみただけ。


(あっ…そう言えば……)


『懐かしい人に会った』

『誰?』


今度はWHO?のスタンプ付き。


『大学時代の元カレ』

『今度一緒に食事しないかと誘われた』


『元カレ!?食事!?』


ビックリ箱が開くスタンプが押されてる。




「それで?行くことにしたの?」


業を煮やした智花が電話をかけてきた。


「うん、行こうかなと思う。彼とまた会えるとは思わなかったし、いろいろと聞きたいこともあるし」


先ずは漬物屋と若社長の関係について教えてもらいたい。
それから、独身なのかどうかも合わせて聞いてみたい。


「それって運命的な出逢い?」

「分かんないけどそう思う?」

「そうかもよ!でもさ、もしかするとクレハさんの言ってた婚期って、その人とかもしれないね!」

「まさか…」


「まさか」と疑いたくなる。

心の中に思い浮かんでくるのは別の人の顔だ。


「ねぇ、智花……(彼女のいる人を好きになったことある?)」


「何?」


ヤバかった。
このことは考えてもいけないことだ。


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