これを『運命の恋』と呼ばないで!
「ううん、何でもない。食事に行ったらまた連絡するね。美味しい物食べたかどうか教えたげる」


教えるとこ間違ってない?…と、笑いながら電話は切れた。
真っ暗になる四角い画面を見たまま、大きくため息を吐く。

「美味しい物」と言いながら、浮かんだのは牛丼と漬物。

何もかも初めてを捧げた京塚先輩と食事をするよりも、また青空先輩と食べてみたいと願ってる。


私はどうかしてる。

青空先輩には、自慢したくなるほどの彼女がいるのに。

今日みたいに優しくされると困る。

どんどん、どんどん、私の中で先輩の存在が大きくなっていくような気がしてくる。

願ってはいけない相手だと知りながら救世主は青空先輩の方がいいと思いたくなる。

このくらいで触れ合うのはやめにしないと、私は自分の気持ちを抑えきれない。



好きだと思ってしまう。


鬼だ鬼だ、最悪だ…と、言い続けてきた人を………



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