これを『運命の恋』と呼ばないで！
無能な仕事ぶりを話す前から言い当てられた気がした。
口を開けたまま話を聞いてると、更にこんなことを言われた。


「前世での貴女は突発的な事故に巻き込まれて亡くなっています。その余波が、この最近出てきてるのかもしれません。両方の掌を見せてみて」


スピリチュアルと書いてた割に、その辺の占いと変わらなくなってきた。


指を広げたまま掌を差し出すと、クレハさんはそれをじっと見入った。
掌のどこを見てるのかは知らないけれど、その眼力は威力があって恐ろしいくらいに鋭い。

息苦しさを覚えながらクレハさんの視線に耐えていた時、ボソッと言われた言葉に身が凍った。



「死期が近づいてるわ」



「えっ………」



言葉もなく耳を疑った。



シキ……？


シキって四季のシキ？……いや、それとも指揮者の指揮？……それとも、もしかして、死期の死期！？



（ま、まさか……）



「し……死ぬんですか？……私…」



声にしながらゾクッと寒気が走った。


まだ２４歳なのに死ぬ？

これから彼氏を作ったり、結婚だってまだ先だというのに死ぬ？



（そ、そんな………）



疑ってた気持ちは何処かへ行ってしまった。

あれだけ穴が空きそうなくらい真剣に掌を見つめられているうちに、疑いの気持ちは失せてしまった。


ぶるぶると身が震えだすのを見て、智花までが狼狽える。

二人して無言になり、クレハさんの方へ目を向けたーーー


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