これを『運命の恋』と呼ばないで!
「えっ……あの……」


この誘いは受けたらダメだ。

私には好きな人がいると、きちんと言わなければならない。

でないと先輩を体良く使ってしまうことになる。

そんなの私はしたくない。

前に青空先輩にも言われたことがあるけど、中庸とかっていうのはニガテ。

保留なんて形を取って期待させることなんてできない。

断らないと。

きっぱり「一緒には食事しない」と伝えなければーーー。



「あの、京塚先輩」


名前の呼び方を変えたことを敏感に察知された。
ピクッと先輩の耳が動き、ジッと目を見つめられる。


「あ…あの、私……」


思わせぶりな態度を一回でも見せたのならごめんなさい。
久しぶりに会えて嬉しかったし、もしかしたら先輩が救世主かな…とも思ったから。



でも、救世主でも悪魔でもいいの。

やっぱり私は青空先輩を好きでいたい。

振り向いてもらえなくてもいいし、彼女がいて、辛い思いをしてもいい。

食事に行くのなら青空先輩と行きたいし、話をするのも叱られながらや呆れながらでも彼の方が楽しい。


昨日のことでよく分かった。

私は青空先輩が好きだから、何を食べても何を話してても楽しいんだってーーー



「あ…あの……ごめんなさい……」


話す前から首を深く項垂れた。
何処から話していいか分からず、少しだけ沈黙してしまう。


「私、…す……」


きな人がいて……と、口に出そうとした。



ら……

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