わがまま姫の名推理



「問題ねーぞ」


「では、その後から、だな」



あたしはウサギから受け取ったコーヒーに口をつけ、一口喉に通す。



「柏木冬馬が2人を殺した理由は借金をチャラにしてもらうため。そして、それを言ったのは凱霧の夕霧李紅だった」



新田海と滋は黙って聞いているが、きっと一弥は……



「えぇぇぇ!?」



そういう反応をされるとわかっていたよ。



「うるさいよ、一弥」



滋が両耳を塞ぎながら言った。



「わ、悪い……河西信太じゃなかったのか……?」



一弥は若干動揺している。



「あぁ、違った。初めてだよ、こんなこと」



思い出しただけでも腹立つ。


あたしはカウンターに乗せていた右手を握る。



「河西信太は嘘をついていなかった。ウサギは『乱魔を知ってますか?』と聞いた。河西は、これを怪盗乱魔のことを聞かれたと思ったらしい」



一弥たちが余計なこと……、いや、紛らわしいことをするからあたしは推理を間違えたではないか。



「そして、当然柏木には接触していないから、柏木のことも知らない。以上で謎解きタイムは終わりだ」


「「「へっ…?」」」



3人そろって間抜けな声。



「さて、本題はここからだ」



第2の、な。


< 102 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop