わがまま姫の名推理
「問題ねーぞ」
「では、その後から、だな」
あたしはウサギから受け取ったコーヒーに口をつけ、一口喉に通す。
「柏木冬馬が2人を殺した理由は借金をチャラにしてもらうため。そして、それを言ったのは凱霧の夕霧李紅だった」
新田海と滋は黙って聞いているが、きっと一弥は……
「えぇぇぇ!?」
そういう反応をされるとわかっていたよ。
「うるさいよ、一弥」
滋が両耳を塞ぎながら言った。
「わ、悪い……河西信太じゃなかったのか……?」
一弥は若干動揺している。
「あぁ、違った。初めてだよ、こんなこと」
思い出しただけでも腹立つ。
あたしはカウンターに乗せていた右手を握る。
「河西信太は嘘をついていなかった。ウサギは『乱魔を知ってますか?』と聞いた。河西は、これを怪盗乱魔のことを聞かれたと思ったらしい」
一弥たちが余計なこと……、いや、紛らわしいことをするからあたしは推理を間違えたではないか。
「そして、当然柏木には接触していないから、柏木のことも知らない。以上で謎解きタイムは終わりだ」
「「「へっ…?」」」
3人そろって間抜けな声。
「さて、本題はここからだ」
第2の、な。