わがまま姫の名推理
「あたしたちと探偵をやらないか?」
「ムリ!」
あたしの提案にいち早く断ったのは滋。
「俺も断る」
次に新田海。
ここまでは予想済みだ。
「俺も……」
しかし、一弥には断らせない。
こいつの能力などは意外と使えるのだ。
「はいはい、俺はやりますよ」
お、どうやらやってくれるらしい。
「正気か、一弥」
理由は明確だが、新田海は驚いていた。
「だって──」
「頼む、ウサギはちっとも役に立たないんだ」
あたしは一弥が言い訳をしようとしたところを遮るように言った。
「しかし……」
新田海は戸惑いを見せる。
仕方がないな。
「お前らは悪いことをしようと思って罪を犯したわけではないだろう?だとしたら、問題はない」
納得させるにはおかしな言葉だが、でも事実そうなのだ。
自分の家族を殺した犯人を殺さず、盗みを働いた。
なんとも子供らしいやり方だが、だからこそ1年で刑務所からでてこられたのだ。
「普段はここで喫茶店を開くんだ。それで、噂の探偵として名を広める。新田海にはハッキングを、滋には情報集めをしてもらうつもりだ。つまり、やることは前とはなんにも変わらない」
まあ、一弥以外な。