わがまま姫の名推理


「そうか。よかった。いいか、知由。皆がお前と同じ能力を持っているわけじゃない」



刑事たちに言った後、あたしのほうを見て、そう言った。



「わかっている。無理に能力以上のことを求めたりはしない」



すると、正広はあたしの頭をクシャッとした。



「さあ、お前の考えていることを話してみろ」



その言葉に素直にうなずく。



「まず、星野財閥に協力してもらえるようにする──」



あたしが話し始めると、さすが刑事と言うべきなのか、みんな真剣に聞いてくれた。



星野財閥に協力してもらい、警備ができるようにする。


だが、実際は受け入れてもらえない、という演技をする。


つまり、乱魔の思惑通りに動く。



そして、乱魔が侵入したところで、家の中の照明を暗くする。


ネックレスが保管された金庫まではほとんど廊下1本。


そこに罠を仕掛ける。


暗い廊下には誰もいないと思わせておいて、乱魔が来た瞬間に明かりをつけ、挟み撃ちにする。



すると、乱魔は焦るはずだ。


そうなると、きっと空海が照明を落とす。


となると、こっちの勝ちだ。


そのまま皆は焦ったふりをし、乱魔を油断させる。


狙った獲物は逃さない。


それが乱魔だ。


だから、その場を脱出すれば、金庫のところに来るに決まっている。


あたしはそこにいる。


そこであたしと乱魔が話をする。


だが、10分後に金庫のある部屋に向かってきてくれ。


それで、逃がすんだ。



「「…………」」



あたしが一通り話終えると、また皆は黙り込んでいた。


だから、なにか言ってほしい。


反対なら反対だ、と言ってくれればいいのだ。


とにかく、無言が1番嫌いだ。



「ちぃ、僕は?」



うん、ウサギはいつも通りだな。



「今回は皆と行動してくれ」


「わかった」


「「…………」」



……まだ黙るのか。


< 24 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop