わがまま姫の名推理
「そうか。よかった。いいか、知由。皆がお前と同じ能力を持っているわけじゃない」
刑事たちに言った後、あたしのほうを見て、そう言った。
「わかっている。無理に能力以上のことを求めたりはしない」
すると、正広はあたしの頭をクシャッとした。
「さあ、お前の考えていることを話してみろ」
その言葉に素直にうなずく。
「まず、星野財閥に協力してもらえるようにする──」
あたしが話し始めると、さすが刑事と言うべきなのか、みんな真剣に聞いてくれた。
星野財閥に協力してもらい、警備ができるようにする。
だが、実際は受け入れてもらえない、という演技をする。
つまり、乱魔の思惑通りに動く。
そして、乱魔が侵入したところで、家の中の照明を暗くする。
ネックレスが保管された金庫まではほとんど廊下1本。
そこに罠を仕掛ける。
暗い廊下には誰もいないと思わせておいて、乱魔が来た瞬間に明かりをつけ、挟み撃ちにする。
すると、乱魔は焦るはずだ。
そうなると、きっと空海が照明を落とす。
となると、こっちの勝ちだ。
そのまま皆は焦ったふりをし、乱魔を油断させる。
狙った獲物は逃さない。
それが乱魔だ。
だから、その場を脱出すれば、金庫のところに来るに決まっている。
あたしはそこにいる。
そこであたしと乱魔が話をする。
だが、10分後に金庫のある部屋に向かってきてくれ。
それで、逃がすんだ。
「「…………」」
あたしが一通り話終えると、また皆は黙り込んでいた。
だから、なにか言ってほしい。
反対なら反対だ、と言ってくれればいいのだ。
とにかく、無言が1番嫌いだ。
「ちぃ、僕は?」
うん、ウサギはいつも通りだな。
「今回は皆と行動してくれ」
「わかった」
「「…………」」
……まだ黙るのか。