わがまま姫の名推理
「だ、ダメだよ!そんなことしたら!」
なんて慌てて辞めさせようとするウサギ。
しかし、そんなの今更なのだ。
もう、何度もこのハッキングで情報を手に入れてきた。
今回は無理を承知でやっているが、情報収集をしていることに間違いはない。
「そうだ、ウサギ。1つ頼みがあるんだが……」
「なに?」
「今から普通の子供のような声を出す。だから、できてるか確認してくれないか?」
「え?あ、うん……」
ウサギは意味がわからないけど、とりあえずうなずこう、というような顔をしている。
「では行くぞ?」
「う、うん……」
「ウサギっ!」
あたしはできる限り高い声、かつ甘えるような声でウサギを呼んだ。
ついでに、ギュッと抱きしめたが。
「……どうだ?」
すぐにもとの声に戻し、ウサギから離れる。
「か、完璧別人だよ」
なぜかウサギは頬を赤らめ、言葉をつまらせながら言った。
「そうか、うまくできてるか」
正直、疲れるのだ。
あの声は。
だから、うまくできるか不安でしかなかったが……
成功したなら、作戦が決行できる。
「乱魔がどんな反応するか、楽しみだな……」
そう思うと、自然と笑みがこぼれた。
「知由!」
会議室に慌てて入ってきた正広。
「どうした?」
「協力してくれるそうだ!」
「本当か!?」
「ああ」
信じられない。
もっと時間がかかると思っていたのに……
「名探偵ラビットの頼みは断れないらしいぞ」
正広はなにかを企む悪ガキのように微笑んだ。
しかし、またしてもラビットの名で……
「知由、次はどうすればいいか?」
すると正広だけでなく、ほかの刑事もあたしの指示を待っている。
……どういう状況だ、これは。
一般人に見られたらバカにされること間違いなし、だな。