わがまま姫の名推理
「ちぃちゃん……」
ゆっくりと顔を上げたウサギの目は潤っていた。
泣くほど辛かったのか……?
「ウサギ、ごめん。負けとか変なこと言って。ウサギは相棒なのに。こんなわがままな人間だが、これからも一緒にいてくれるか?いや、一緒にいてほしい」
あたしはいい終えると同時に頭を下げる。
ウサギはなにも言わない。
それだけ怒ってるのか……
「うぅ……」
え?
まさかと思い、あたしは顔を上げた。
「は……?」
ウサギは泣いていた。
「ちぃ……っ!」
ウサギは泣きながらあたしに抱きついてきた。
これだとどちらが子供かわからない。
「僕のほうこそ叩いたりしてごめんね。バカって言ってごめんね」
「もう済んだことだ。今回はどちらも悪かったんだ」
本当ならば、文句を並べるところだが、今は違う。
仲直りをしたのに、それだと意味がなくなる。
「ウサギ。一緒に乱魔を捕まえよう」
あたしはウサギを引き離し、笑いかける。
「うんっ」
ウサギも満面の笑みで返してくれた。
なぜか手を繋いで部屋に戻る。
「仲直りできたんだな」
「うん!」
……ホントにウサギが子供に見えてきた。
いや、実際正広の子供ではあるんだが。
「で?これから私らはどうすればいいですか、ラビットさん」
父親がわざとらしく言う。
「これ以上はやることはない。明日、計画通りにやれば、問題ない」
「「「はい!!」」」
皆が上司にするような返事をあたしにしてきた。
なんだか変な気分ではあるが、これ以上なにか言うのも面倒だったため、今日はそのまま解散ということになった。
「ちぃちゃん、僕らも帰ろっか」
「ああ」
そう答えると、スッ……、とウサギに手を繋がれた。
これもそろそろ慣れてきたな……