わがまま姫の名推理
第3章
翌日、午後5時。
星野家にパトカーが次々と到着する。
「いよいよだな……」
刻一刻と乱魔との勝負の時間が近付いていく。
うまくいくかどうか不安もあるが、今はあたしに付いてきてくれる人たちを信じるのみだ。
大丈夫、きっとうまくいく。
「そろそろだ!各自準備しろ!」
数時間後、正広の声がその場の全員に届く。
どこから見ても家の中に入れてもらえないダメ警察だ。
あとは、あたしが金庫の部屋に行けばいい。
「ねえ。あなたがラビットなの?」
後ろからいかにも気の強そうな声で呼び掛けられ、振り向いてみると、あたしとは正反対な少女がそこに立っていた。
白のフリルがついた大きめのスカート。
なにか羽織っていて中に着ているものは見えないが、パッと見、ドレスのようだ。
それに加え、フワフワの茶髪に大きなリボン。
まるで天使のよう。
言うまでもない。
彼女がこの星野財閥の一人娘だ。
星野瑠美(ほしのるみ)。
あたしの5つ上だから、14歳。
「………………チビね」
はあぁぁぁ!?
まじまじと見た感想がそれか!?
ありえない!
財閥のお嬢様ってのはこんなものなのか!?
「あんたみたいなのに、うちの宝が守れるって言うの?フフッ……バッカじゃないの。この私よりもチビなあんたになにができるって言うのよ」
なぁー!!
あたしがなにも言い返さないのをいいことに!
好き放題言って!
あたしの能力があったら、あんたの財閥なんて簡単に潰せるんだからな!
「なによ、その目。私は事実を言ったまでよ?怒る理由なんてどこにもないじゃない」
あー、本当に腹が立ってきた。