わがまま姫の名推理
「お父様に言うわよ!」
本当に言う奴いるのだな、こういうこと。
正直、だからなんだ、と言いたいところだが……
「お前の親に言ったところであたしたちがどうなると言うのだ。あたしの能力があれば、お前の家は簡単に潰れるぞ?」
「なに言ってるの?そんなこと、あんたにできるわけないじゃない」
そこまで言うのならやってやる。
「明日が楽しみだなぁ」
「え、ちょっ……」
今さら慌ててももう遅い。
敵に回した人間が悪かったな。
「ちぃ」
また邪魔をするつもりか、ウサギは。
「やっていいことと悪いことがあるよ」
「……冗談だ」
ウサギの真っ直ぐな目を見たら、そうとしか言えなかった。
「よかった。ホントにそんなことしたら、ちぃちゃん捕まっちゃうからね」
そんな捕まるようなヘマはしないがな。
「ふ、ふんっ。やっぱりできないんじゃない!」
まだ言うか……
「お嬢様、それ以上は言わないほうがいいですよ?この子、本気になるとなにするかわかんないから」
「…………」
ニコニコ笑っていたウサギが急に真剣な表情をしたもんだから、瑠美は黙り込んだ。
嘘ではないと悟ったのだろう。
「瑠美、こんなとこでなにやってるんだ」
次は社長さんの登場か。
まあ、そろそろ11時になろうかってのに、娘が戻ってこなかったら出てくるよな。
「お父様!」
瑠美はガバッと社長に抱きついた。
そんなことしたら……
「ん?もしかして、君たち瑠美になにかしたのか?」
こうなるから嫌なんだ。