わがまま姫の名推理
古典文学から科学文学、機械文学に……
とにかく図書館にあった本、すべて読んだ。
全部で20000冊くらいか。
それを2年で……
普通はあり得ないな。
というか、子供が読むような本ではない。
「すごいね、ちぃちゃん。ちぃちゃんは天才少女だ」
ウサギは楽しそう言いながらまた歩き始める。
あたしが天才少女……
そんなこと言われてもいまいちよくわからない。
「さ、ここが書斎だよ。自由に出入りしていいからね。僕の両親にも話しとくし。そういえば、ちぃちゃんの親は?」
まだ言ってなかったか。
あたしは書斎に入り、本棚に並べられた本を見上げながら答える。
「あたしには親はいない。生まれてすぐ施設に預けられたらしい」
「えっ……」
ウサギは言葉を詰まらせた。
「ご、ごめん……」
「なぜ謝る?ウサギはなにも悪いことをしてないではないか」
「いや、そうなんだけど……」
そう言ってウサギは申し訳なさそうに目を伏せた。
「……ウサギ」
「ん?なに?」
呼び掛けたら、返事はするようだ。
「ははっ……」
おかしくて笑えてくる。
「え?ちぃちゃん?」
ウサギはしどろもどろに言ってくる。
そのようすがおかしくて、また笑ってしまう。
いつぶりだろう。
というか、初めてかもしれない。
こんなに声を出して笑ったの。