わがまま姫の名推理
「まさか。なにもしてませんよ」
ウサギが首を振横にりながら答える。
「しかし……」
「しつこいぞ。なにもしていないと言ってるではないか。むしろ、そのお嬢様にやられたのだが」
「なっ……君は私の娘がなにかやったと言うのか!?」
……あたしはそう言ったはずだが。
「明日から路頭に迷うようにしてやろうか?」
そんな脅しには乗るものか。
「それはこっちのセリフだ」
「お前になにができる」
また親子そろって……
と言うより、このやり取り、さっき瑠美としたばかりなんだが。
このままいくとまたウサギに止められるのは目に見えている。
それは面倒だ。
「お宅の経営を狂わせるくらいはできるぞ?」
だが、あたしの口は止まらない。
「そんなの、信じられるわけないだろ」
あたしたちは睨み合った。
「ストーップ!もういい加減にしてください!まったく、何回止めたらいいんですか。社長たちはちぃちゃんを挑発したらダメです。ちぃちゃんはいちいち本気にしないっ!」
やはり怒られたな。
「君はどうしてそこまでこの子をかばうんだ」
「かばってないです。むしろ社長たちのことを助けようとしてます。ちぃちゃんは天才少女で、頭は切れるし、ハッキングも簡単にできます。そんな子、敵に回したくないでしょ?」
なんだか褒められたのか、けなされたのかわからないな。
だが、ウサギのその言葉が効いたのか、社長は黙った。
「さ、帰るよちぃちゃん」
彼らがなにも言ってこないため、もう収まったと思ったのか、ウサギはあたしの腕を引いた。
「ふわぁー……」
さすがに眠たくなり、あくびが出た。
「早く帰って寝ようね」
ウサギが笑いながら言ってくる。
まったく。
子供扱いもいいとこだ……