わがまま姫の名推理



その言葉を聞いて1番に反応したのが香苗。



やはり、大切にされているなとつくづく思う。



「ごめん、なんでもない。香苗、心配するな。とてもおいしいぞ」



今度は偽りの笑顔とか関係なく、なにも気にすることなく、いつもの三崎知由で笑えた。



あたしの考えすぎだったのだ。


この家族がいなくなるわけがない。


ウサギに出会えてよかった。



「ありがとう」



これは自然と出てきた言葉だった。



何に対してなのかは自分でもよくわからない。


だが、とにかくこの人たちにそう言うべきだと思った。



「「「…………」」」



すると、というか当然、3人は黙り込んでいた。


あたしもなにを言えばいいのかわからず、黙々と朝食を食べる。



「知由ちゃん、それは何に対しての感謝?」


「わからない。ただ、香苗や正広、ウサギに言わなければならない気がしてな。こんなあたしに優しくしてくれて、ありがとう、とな」


「もう!何言ってるのよ。家族でしょ、私たち。優しくするのは当たり前!」



家族、か……



「え!?ちぃちゃん!?」



するとあたしの目から涙が流れていた。



「みんな、ありがとう。こんなあたしを家族だなんて言ってくれて……あたし、ウサギや正広、香苗に会えてよかった」



涙を拭いながら、笑顔を作って言った。



「私も知由ちゃんに出会えてよかった。それに、娘が欲しかったのよ。雪兎もいい子なんだけどねぇ」


「俺も助かってるぞ。こう言うのもなんだが、知由の力がなかったら迷宮入りしたかもしれない事件がいくつもあったからな」


「お父さん、それだとちぃちゃんが道具みたいじゃん」


「だから、言い方が悪いと言っただろ」



やはりあたしにはこの他愛もない会話には混じれないのだ。


3人を見ていると、嫌でも思い知らされる。


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