わがまま姫の名推理
「とにかく。なにかあったら、遠慮しないで言ってね、ちぃちゃん。絶対に力になるから」
そう言ってもらえるのはありがたいが……
ウサギが役に立つとは到底思えないな。
「雪兎で無理なら俺たちでもいいからな」
あたしの考えていることがわかったのか、正広がそう言ってきた。
朝からいいことずくめだ。
なんだか、なんでもできるようなおまじないをかけられたような気がする。
「さ、早く食べちゃいましょ。知由ちゃん、今日は正広さんについて行くんでしょ?」
香苗にそう言われ、あたしはうなずき、朝食を食べ終わらせた。
「知由、あと20分で行くから、準備しろ」
「わかった」
あたしは自分の部屋に行き、着替えたりした。
そして、ちょうど20分後に出発した。
もちろん、ウサギも一緒だ。
「ここが資料室だ。なにかあったら連絡しなさい」
警察署に着き、どこによることもなく、資料室に案内された。
「ありがとう、正広」
すると正広に髪をくしゃっとされた。
そしてそのまま部屋を出ていった。
あたしはとりあえず資料を見て回る。
「ねえ、何について調べるの?」
あたしの後をついて歩くウサギが聞いてきた。
「14年前の事件だ」
「……なんの、事件?」
「成瀬優弥と咲が殺された事件だ」
「……誰?それ」
「成瀬一弥の父親と妹だ」
「……成瀬一弥って?」
しつこいな。