わがまま姫の名推理
第6章
目を覚ますとあたしは自分の部屋のベッドの上で寝ていた。
窓の外から小鳥のさえずりが聞こえてくるから、もう朝なのだろう。
ベッドから体を起こすと、ちょうどドアをノックする音がした。
「誰だ?」
「知由ちゃん、起きてる?」
香苗がドアを開け、顔を覗かせながら言ってきた。
「今起きた」
「そっか。あ、朝ごはん食べる?」
「あー……、今日はいい。だが、正広に話があるから、あとで行く」
「はーい。待ってるね」
香苗は楽しそうに言って、ドアを閉めた。
そしてあたしはベッドから降り、クローゼットを開ける。
適当に近くにあった服を取り、着替える。
脱いだパジャマをベッドの上に置き、黒いリボンを左目上あたりに付ける。
「あ、おはよ、ちぃちゃん」
食卓に向かうと3人が楽しそうに朝食をとっていた。
あたしに気付いたウサギが軽く箸を持った右手で手を振る。
ウサギの言葉を聞いた香苗と正広がほとんど同時に振り返り、あいさつをしてくれる。
あたしもあいさつを返し、ウサギの横に座る。
「それで?俺に話があるんだろ?」
正広が目玉焼きを口に運びながら聞いてきた。
これっぽっちも聞こうという気が見られないが……
まあいいだろう。
「成瀬優弥と咲が殺害された事件を知っているか?」