わがまま姫の名推理
「どうやってそれを調べたんだ?」
「…………」
正広のその質問には答えられなかった。
答えたら、本当に乱魔の邪魔をするような気がしたから。
乱魔の目的はきっと柏木冬馬への復讐。
方法としてはなんとも子供らしいというか、乱魔らしいといいうか。
だが、まだ殺そうとしていないだけましだ。
乱魔が殺人を犯してしまう前に、柏木冬馬を捕まえなければいけない。
そして、乱魔は真相が知りたいはず。
だとしたら、どうやって調べたかは話せない。
「ま、いつか話せよ。しかしどうしたもんか……14年ともなると、時効まであと少しだし、証拠なんてねぇしなぁ……」
そこなのだ。
証拠がなければ柏木冬馬を捕まえることはできない。
だから。
「柏木冬馬にしゃべらせる」
「やっぱそれしかねーな」
正広は最後の一口を食べ、箸を置いた。
「んじゃ、さっそく行動開始だ。もちろんついてくるだろ?知由」
「当たり前だ」
あたしは残りの麦茶を飲み干す。
「ぼ、僕も行っていいんだよね?」
様子を伺いながらウサギが言ってきた。
はは……、ウサギの存在をまるっきり忘れてた。
「知由の保護者代わりはお前だからな。しっかり見張っとけ」
正広は冗談混じりに言った。
見張るって……
それではまるであたしが問題児みたいではないか。