わがまま姫の名推理
「知由、いろいろ気になるだろうが後回しだ。とにかくここを出るぞ」
あたしは若干動揺しつつも、部屋を出られるようにパソコンの電源を切った。
そしてドアに鍵をかけると、正広は歩きながら説明してくれた。
「まず、俺たちが柏木を捕まえることができたのは、昨日の知由と同じ方法だ」
「言葉の誘導……」
「そのとおり。まんまと引っかかってくれたよ。んで、あっさり逮捕」
だから帰ってくるのがこんなに早かったのか……
「柏木冬馬についてのニュースはもうすぐ放送される」
正広のこのセリフにどのような意味があったのかわからないが、あたしは今すぐ乱魔に知らせたかった。
「正広、電話が……」
「悪い、知由。後にしてくれ。とりあえず柏木に話を聞かなければ」
そうして着いたのは取調室。
あたしたちが入ったのはその横の部屋。
取調室が見えるようにマジックミラーがある部屋。
取調室には柏木冬馬と若い刑事が向き合って座り、入り口あたりにベテランらしき刑事が立っている。
「正広、やはりあたし、電話してくる」
「あ、おい知由!」
あたしは正広の声を無視して、その部屋を出た。
とりあえず電話をかけるために休憩所に向かおう……
「ちぃちゃん」
「ウサギ……」
するとウサギがついて来ていた。
「誰に電話かけるの?」
「乱魔だ」
あたしはスマホに電話番号を打ちながら答える。