わがまま姫の名推理
「まあ、そういうことだな」
あたしはため息混じりに言った。
「どうしてそう言い切れるんだ?15年前の事件についてだぞ。そもそも、お前、生まれてねぇじゃん」
一弥が不服そうに言う。
しっかりとあたしを疑っているな……
なんだか逆におかしくて笑えてくる。
「知りたいか?こんな話をしても、誰もわからないと思うが。わかるとしたら、空海、くらいか?」
「……!」
一弥はまた目を見開く。
ただ空海の名を出しただけではないか……
なにも、そこまで驚かなくても……
「え?空海って誰?」
そういえばウサギにはまったくもって、説明していなかったな。
言うか?
「いや、なんでもねぇ」
しかし、あたしが口を開くよりも先に一弥が言った。
一弥がそう言うのなら、あたしがわざわざ説明する必要はないだろう。
「……そう、ですか」
するとウサギはシュン……、と肩を縮めた。
仲間はずれにされたとでも思っているのだろう。
しかし無視だ。
「まあ、それは置いといて。ウサギ、この2人の聞き込みをしてきてくれ」
「わかった」
ウサギは立ち直ってうなずき、走ってどこかに行ってしまった。
「俺は?」
あたしの横に座りながら聞いてくる。
「推理ごっこをしよう」
「で?なにを推理すんだ?」
「お前はどうして柏木が成瀬優弥を殺したと思う?」