わがまま姫の名推理
なんとなく呼ばれた理由はわかっているが、あえて聞いてみる。
というか、しっかりと理由が明確で、本当に一弥、いや乱魔に勝てたことが証明されたため、つい頬が緩む。
「今度こそお手上げか?」
「………………あぁ。真相がわかってんなら、教えてくれねぇか?」
ここはからかってみよう。
ウサギよりも楽しそうだし。
「教えて“くれねぇか”……?」
一弥は一瞬で不機嫌になった。
……これはイジリがいがありすぎるなぁ。
「お前はなにが言いたいんだ」
本格的に楽しくなって来たぞ。
しかし一弥は黙ったままなにも言わない。
きっとプライドが許さないのだろう。
「どうした?知りたくないのか?」
「もしよろしければ、真相を教えていただけないでしょうか」
ちっ。
もう折れたか。
「ふん。いいだろう」
あたしはそう言ってパソコンを閉じた。
こうも簡単に折れるとは、つまらない奴だ。
「さて、一弥はどこまで考えた」
「柏木が俺に『犯人は乱魔の人間だ』って言ってきた理由くらい」
「なんと。お前は柏木に接触してたということか?」
これは本人だからこその情報だな。
「まあな。つっても、だいぶ前の話だ」
だから乱魔を名乗って怪盗をしていた、ということか……
「ならば、あまり関係がないな。しかし、それがあったからこそ、成瀬咲が殺された理由がなんとなくわかったのであろう」
もし柏木冬馬が成瀬一家を全員殺す気でいたのなら、一弥はその会ったときに殺されているはずだから。