わがまま姫の名推理
「ところで、お前って友達いんのか?」
こいつはさっきからどうでもいいことを……
そのようなことを聞いてどうするのだ。
「いるわけがないだろう。学校では極力しゃべらないようにしているからな」
しゃべれば馬鹿にされ、いじめられる。
別にそれくらいどうってことはないが、面倒ごとは嫌いだ。
「寂しくねぇのか?」
「別に。プライベートが楽しければ問題ない」
それに、ウサギがいれば暇になることはないしな。
「そういうお前には友達がいるのか?」
あたしばかり質問されるのも癪だからな。
すると一弥は水を吹き出した。
……動揺しすぎだ。
そして慌ててその水を拭きながら答える。
「いるわ!実際、海と滋がそうだし!」
かなり必死だなぁ……
「お前の思い込み、ということもありえるであろう?」
一弥の目は今まで以上に開かれた。
そこまで驚くとは……
「くくっ……お前はからかいがいがあるなぁ……」
その顔があまりにもおかしくて、なかなか笑いが止まらない。
「いやぁ、久々にウサギ以外の人間の前で笑ったな」
一弥はさらに不機嫌になった。
なにも、そこまで拗ねなくてもいいではないか……
「ちぃ!」
するとペットボトルの水を飲み終えるころになって、ウサギが戻ってきた。
「遅かったな、ウサギ。なにしてたんだ?」