わがまま姫の名推理
たった2人だけの聞き込みなのだ。
もう少し早くてもよかったではないか。
なにより、ウサギが早ければ一弥に余計なことを聞かれずに済んだだろうに。
「ごめんね、ちぃちゃん」
こうして素直に謝ってくるから責める気もないが。
「それで?」
「風利の河西信太は、えっと……」
メモを見ずに話そうとするから……
自分には無理だ、ということくらい覚えておいてほしい。
そしてカバンの中からメモを発見し、説明をしてくれる。
「あ、あった。えっとね、河西信太は、知らないって。乱魔なんて聞き覚えないし、柏木冬馬なんて会ったことないって」
乱魔を聞いたことがない……?
そんなはずはない……
つまり…………嘘……?
「……………次」
「凱霧の夕霧李紅は乱魔ってのは聞いたことあるけど、柏木冬馬は知らないって」
こっちは乱魔を聞いたことある……
ならば、嘘をついていない……?
ということは……
「ウサギ」
整理がつき、あたしはウサギを呼ぶ。
「なに?」
「河西信太を連行してこい」
「はぁ!?」
あたしの言葉を聞いて数秒後、一弥が叫んだ。
「なんでそうなるんだよ!2人とも柏木のことは知らねぇって言ってんじゃねぇか!なにを根拠にそう言いきるんだよ!」
……感情的になりやすいタイプか……
面倒だな。