わがまま姫の名推理
「うるさいぞ、一弥」
あたしは両耳を塞ぎながら言った。
「そうですよ、うるさいです」
珍しくウサギがあたしの行動に乗ってきた。
というか、こいつ……
「お前、もしかして2人の証言が真実だと思ったのか?」
すると“え?”とでもいうかのような顔をする。
「はぁ……」
なんだ、ウサギ以下か……
期待して損した。
ウサギでもこれくらいは……
と思い、ウサギのほうを見るが、一弥と同じような顔をしていた。
……同レベルかよ。
思わずまたため息が出る。
「河西信太の証言は大嘘だ」
「!?」
「夕霧李紅は本当のことを言ってるみたいだがな」
そんなあからさまに信じられない、というような目を向けられてもなぁ……
大人の言葉はあんなにやすやすと信じていたではないか。
「……一弥。お前はあたしの言うことが信じられないのか?容疑者や犯人たちの言うことはあっさりと信じているというのに。差別するなよ」
そういっきに言うと、一弥はため息をついた。
ため息をつきたいのはこっちのほうだ。
「悪かったよ。確かに、差別だ。大人の言うことを信じて、ガキの言うことは信じてなかった」