わがまま姫の名推理
まんまとかかったか。
「では、あたしの言うことを信じるのだな?」
「あぁ、信じるよ」
一弥はため息混じりにそう言った。
しかしこれほど簡単に言葉で誘導できるとは……
単純なやつだな。
「それじゃ、僕は河西信太を連行してくるね」
あ、ウサギの存在を忘れていた。
しかしあたしの言葉を聞くよりも先に、自分でそう言ってどこかに行ってしまった。
まあ、いいか。
「一弥、お前はどうする?」
「どうするってなにが?」
「もうこの事件も解決するが、まだ自首しないのか?なるべく早く自首したほうがいいと思うぞ」
乱魔と成瀬一弥が同一人物とバレるのも時間の問題だからな。
「結果ならお前が刑務所から出てきたときに丁寧に説明してやる」
こうすれば、ためらうことなく自首できるだろう。
ついでに新田海や桜井滋にも会って話したいことができたからな。
「どうするのか?」
改めてもう1度聞く。
「わーった。もう自首する。そのかわり、ちゃんと教えろよ?」
「当たり前だ」
「じゃあな」
一弥はそう言ってあたしの頭を何度か叩き、その場を去った。
そうしてあたしは休憩所に1人残された。