わがまま姫の名推理
最終章
半年後、新田海と櫻井滋が出所するという情報が入った。
実際、正広に聞いただけだが。
あたしたちはすれ違わぬよう、彼らを待つ。
「あれ?みさきちゃん?」
運が良かったのか、櫻井滋と出会うことができた。
「こんなところでなにしてるの?住吉雪兎くんも」
どうやらウサギのことも知っているらしい。
当然といえば当然なのだが。
「少し話があってな。新田海は?」
「海ならもう少し後に出てくるんじゃない?」
「そうか」
ならば、ここで待っていよう。
「みさきちゃんさ、何考えてるわけ?」
櫻井滋も待つらしく、あたしたちがいる影に入ってきた。
「どういうことだ?」
質問の意味がまったくわからない。
「だってさ、いつも僕たちの1つ上のこと考えてるじゃん?だから不思議だなぁ、って思って」
そういうことか。
「簡単だ。予測しているだけだ。しかし空海がいるだけあったな。作戦がハッキングできなかった」
「空海は世界のトップクラスだからね」
それはあたしも知っている。
しかし、成瀬一弥は乱魔で、新田海は空海。
櫻井滋は……?
「お前はなにを担当していたのだ?」
「はは、お前呼ばわりかぁ……僕は情報屋だよ。通称Sだね」
……こっちもこっちで素晴らしいことで。
「僕たちが頑張っても、一弥があんな感じじゃん?なんていうか……宝のもち腐れ?才能の無駄遣いだよね、みんな」