わがまま姫の名推理



そして2人に会うことなく、さらに半年が経った。



正広に一弥が出所したと聞き、あたしたちはまた同じところに行く。



すると新田海と櫻井滋がもうそこにいた。



「こんにちは、みさきちゃん、雪兎くん」


「…………」



櫻井滋は笑顔で挨拶をしてくれるというのに、新田海は睨んでなにも言わない。



そこまで敵対心をむき出しにされても、なにもしないのにな。



「一弥さんから連絡があったんですか?」



あれ、“一弥さん”に呼び方が変わっている。



「うん。雪兎くんたちはなんで?」


「父に聞いて。みなさんにお話がありますし」


「へぇ……、どこでその話聞けばいいの?」


「えっと…………、ちぃちゃん、どこだったっけ?」



急にあたしに投げかけるな。



「あたしが潜入した喫茶店だ」


「え!?あそこ、まだ残ってるの!?」



櫻井滋があたしに言ってくる。



「きちんと調べたぞ」


「へぇ!楽しみだな!」



櫻井滋は一気にテンションを上げた。



「てかさ、雪兎くんって敬語使うキャラ?」



櫻井滋は再びウサギと話し出した。


……あたしはのけ者か。



しかしウサギの敬語はいつもの癖だろう。


普段敬語を使うことは少ないからな。



「なんとなくです。みなさん僕より年上っぽいから」


なんともそれっぽい理由を出してきたな。



「えー?僕だけは年下だよー?21だもん」


……なぜ“だけ”なのだ。


まるでウサギの年齢を知って……


< 97 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop