悲しみの果てに
誤解からの逃亡
••うそ
四井製薬の営業の人から
綾香さんの妊娠の話が
公表された。
四井製薬の社長さんも有沢の院長も
凄く喜んでいると
「鈴菜っ、あなた大丈夫なの?」
と、倒れそうな私を
結さんが支えてくれた。
「あっ、師長。
はい、大丈夫です。
申し訳ありません。」
と、言うと
「何が、大丈夫なの。
真っ青じゃない。
今日は、帰りなさい。
後で、連絡するから。」
と、言われ
私は、早退して
一度家に帰り
荷物を鞄に詰めて家をでた。
結さんと沙良には、
居場所をラインして
携帯の電源を落とした。
それから、一人で考える
いったい・・
どういうこと?
苳吾さんは、綾香さんと
寝室も一緒にしていないと
言っていたのに
全てが‥‥‥うそ‥‥‥
何を信じたら‥‥
行き場のない‥‥気持ちを
もてあまし
私は、涙を流すしかなかった。
そんなとき、吐き気を催し‥‥
そう‥‥いえば‥‥
‥‥生理が‥‥きて‥‥ない‥‥
目の前が、真っ暗になった。
ホテルの部屋のブザーがなり・・・
目が覚めた。
覗き穴からみると
結さんで
急ぎドアをあけた。
「鈴菜っ、あなた大丈夫なの?
真っ青よ。」
と、言われて
私は、結さんに抱きつき泣き出した。
結さんは、びっくりしていたが
私を抱き締め返してくれた。
「‥‥ゆい‥さん‥‥‥
‥‥わたしっ‥‥妊娠っ‥‥してる‥‥」
と‥‥やっと、言うと
「ええっ、有沢先生の?」
と、聞かれて
私は、頷いた。
「鈴菜、病院行ったの?」
と、言われ
首を横にふった。