悲しみの果てに

••お帰り下さい


「あいな、今、いくつだ?」
愛菜は、指を二つたてて
「にしゃい?」
と、言った。

苳吾さんは、
「鈴菜、どういう事だ?
お前、俺と付き合いながら
ドイツ人と付き合っていたのか?」
「私は、貴方と違って一筋です。
もう、お帰りください。
奥さまと子供さんが
待っていますよ。」
「奥さま?子供さん?
私は、独身だ。
妻も子もいないが。」
「何をおっしゃってるのですか?
綾香さんは、どうしたのですか?」
「ああ、四井さんのことか?
お子さんを生んで幸せに
しているみたいだぞ。」

鈴菜は、落胆したのと
お子さんを生んで幸せなんだ
と、ホッとする気持ちだった。

「それは、おめでとうございます。
もう、私には近づかないで下さいと、
お伝えしましたが。」
と、言うと
「帰れないな。」
と、言って自分の膝をさす。

話しに夢中になっていたから
愛菜が、苳吾さんの膝で寝ていたのを
見逃した。

鈴菜は、はぁーっと
思い‥‥…
「すみません。気づきませんで。」
と、言って愛菜を抱き取ろうと屈むと
苳吾さんにいきなり、腕をとられて
キスをされた。

鈴菜は、びっくりするが
愛菜がいて、無理に押し返す事が
できなかった。

苳吾さんは、手を私の後頭部に回して
深くキスをする
舌をからめとられて、吸いあげた。
「ふぅ‥‥ン‥」
「鈴菜、愛してる。
俺の気持ちは、あのときから
変わっていない。」
と、言った。

鈴菜は、またなしくずしになる
と、思い首を横にふった。
「なぜだ?」
「もう、ご家庭に帰ってください。」
と、今度は懇願した。
「だから、俺は独身だ。」
と、また言うから
堂々巡りになると思って
愛菜を抱き上げて
ベッドへ行き
愛菜をソッと下ろした。

再び、リビングにいき
「有沢先生、もうお帰り下さい。」
と、毅然として言った。
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