悲しみの果てに
••尊敬していたのに
俺は、気持ちの行き場もなく
初めて両親を責めた。
「なぜっ!!なんで勝手に?!
俺の気持ちは?
二人を尊敬していたのに
なんで、俺の気持ちを無視して
俺はっ······あんたらのおもちゃ
じゃないんだ!!」
と、怒鳴り付けた。
親父とお袋は、
びっくりして
「お前には、恋人もいないのかと」
「苳吾、ごめんなさい。
私達は、よかれと思って。」
と、二人は言った。
俺は、なすすべもなく
結婚をするはめになった。
四井さん側から、
病院にも業者にも
通達されていたから·······
俺は、次の日鈴菜を探した。
鈴菜は、俺を見て
一瞬、びっくりしたが
「有沢先生、御結婚
おめでとうございます。
どうぞ、お幸せに。」
と、言い頭を下げた。
俺は、立ち去る鈴菜を
その場で見ているしか
なかった・・・・・
その後
大西さんが、やってきて
「先生、どういう事ですか?
鈴菜は、鈴菜は、あんなに
先生を慕っていたのに。
許せない。絶対に!」
と、言って殴られた。
その日から
鈴菜の友人の新垣 沙良さんからも
無視されるようになった。
仕方ない、二人にとって
大事な鈴菜を
俺は、もて遊び、
捨てたようなものだ。
だが、諦めきれない俺は、
その日、鈴菜の家へと向かった。
鈴菜に経緯を聞いて欲しかった。
でも、鈴菜は、玄関を開けることなく
「先生、お帰りください。
そして、二度と、ここには
来ないでください。
私は、もう先生の事は忘れます。
今までありがとうございました。」
と、言った。
俺は、
「すまなかった。」
と、言い立ち去るしかなかった。
だが、鈴菜の嗚咽が
聞こえて、泣き止むまで
立ち尽くしていた。
何日も、何日も、鈴菜の家に通い
影から、鈴菜を見ていた。