悲しみの果てに

••実は


「ダメだよ、鈴菜っ!起きて。」
と、言って起こすと

「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥えっ?とう‥‥有沢っ‥先生?」

「苳吾だ。
鈴菜、ご飯食べてから薬な!」
「えっ、はい。」

「あ~ん」
と、俺が言うと

「有沢‥‥」
「苳吾だ。」
「あっ、えっと、苳吾さん
自分で、食べれます。」
「いいから、ほらっ、あ~ん」
と、きかないから
仕方なく、口を開けると
苳吾さんが、口に運んでくれた。

苳吾さんの作ったお粥は、
おいしかった。

食べ終わると
苳吾さんは、薬を自分の口に含み
私に飲ませた。

飲ませると
口の回りを指で拭いて
体温計を渡した。

熱は、37度1分。

「鈴菜、お風呂どうする?」
と、言うから
「入りたい」
と、言うと
「ちょっと、待ってろ。」
と、言って
湯槽にお湯をはり
「ちゃんと、つかるんだよ。」
と、言って
着替えを用意してくれた。

食べたものを片付けて
シーツを換えてから
苳吾も風呂に入った。

洗濯機に脱いだ物をいれてから
回して、中に入ると
鈴菜は、びっくりした顔をした
「昨日、入る暇なくて。」
と、言って
身体と頭を洗って
鈴菜のいる、湯ぶねに入り
俺の足の間に
鈴菜を座らせて
「身体、大丈夫か?」
「はい。昨日はありがとうございました。」
と、言うと
「良かった。昨日は、いきなり倒れて
びっくりした。」
「苳吾さんが、後ろにいたの?」
「ああ、実は、あの日から
毎日、鈴菜の家の近くから
鈴菜の部屋の電気が消えるまでいて
帰る日々を送っていたんだ。」
「えっ、嘘。」
「ほんとだ。両親が勝手に
四井さんと婚姻届けをだしていて
どうにも、為らなかった。
すまない、鈴菜。
鈴菜の事を早く、両親に言ってれば
良かったんだ。」
と、言った。

鈴菜は、耳にする全てに
驚いていた。
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