俺様彼氏はShy Boy?


キッチンに立つあたしを、海斗はずっと見てた。

何か言うわけでもなく、ただ見てるだけ。

あたしに変なプレッシャーを与えてるだけ。


それでも、今のこの光景が幸せそのものに感じて。

いつか毎日がこんなふうに過ごせるときが来たらいいな…と夢を見る。


初めて振舞う手料理だけに、初めは緊張して少し手が震えていたけれど。

それよりも海斗に美味しいって言ってもらいたくて、愛情をいっぱい込めて作るだけ。


出来上がったパスタを二人で食べる。

海斗の反応が気になって、チラチラ盗み見してると。


「気が散る」


デコピンされて涙目になった。


「…ん、まあまあだな」


口ではそう言ってるけど。

優しく瞳を細めてくれたことにホッとする。

一言言っただけで、あとは無言で食べる海斗を見つめて微笑む。

胸がキュッとなって、ちょっと苦しくて。

キラリと光る黒と赤のピアスを見て、胸がいっぱいになる。

あたしにもついてる、海斗と同じピアス。


『俺のって、しるし』


海斗が見せた独占欲。

無意識に触れるピアスに、あたしの気持ちはさらに溢れていく。

そんなあたしを見て、海斗も満足そうに微笑んだ。


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